【アーカイブ配信ページ】【1/24開催|九大病院共催セミナー】医療機関の国際化に向けた 異文化理解セミナー~外国人患者さんとのすれ違いをなくすために病院ができること~

公開期限:2024/03/31 11:59 pm

セミナー配布資料

当日の資料は以下よりダウンロードいただけます。

セミナーアーカイブ動画

※セミナー開催時点での情報であることをご理解の上、ご活用をお願い致します。

動画公開期限:2024年03月31日

セミナー Q&A集

当日時間内に回答できなかった質問のうち、回答可能なものについて、以下に回答を掲載します。

臨床現場では、異文化理解の必要性や、取組の優先度が高くないと認識されることがあります。
臨床現場での異文化理解への意識の醸成について、どのようにお考えでしょうか。

■九州大学 肥後先生からのご回答
臨床現場において異文化理解の必要性や取組の優先度が高くないと認識される傾向があるとのこと、よく分かります。ひとつには、ヘルスケア分野に限らないことですが、人体=ハード、文化背景=ソフト、といったような暗黙の認識があるためと推察します。現場における最優先事項は、患者さんに対し医学的観点から人体(ハード)の安全とそれに対する望まれるケアの結果の追求という目的が明確に定められているため、そこに力点が置かれるのが一つの理由であると考えます。それ自体はもちろん間違った姿勢ではなく、また今後重要度を下げても良いことでは全くありません。

一方で、社会全体からの不可避なニーズもあります。「かかりつけ医」の普及にみられるように、包括医療の重要性は今後益々高まってきており、それを背景に「患者さん=ハード+ソフト」というように包括的にとらえる必要も出てきます。ハードに現れる健康問題もソフトとの関係性を理解して初めて適切な診断と効果的な対処できるようなケースは増えてくるはずです。臨床現場と言っても多種多様ですが、これは内科関係の分野に限らないはずです。

といっても、多くの臨床現場において異文化理解への意識の醸成を早急に進めるのは、前述の理由により難しい面があります。皆さんとても多忙です。これについては、まずは「臨床現場において、患者さんとのミスコミュニケーションによる誤診を防ぐため」という医療従事者の方々が最も理解しやすい点から説明するようにしています。そして益々文化的多様性を迎える日本社会全体においてこのようなミスに直面するリスクも益々増えているため、と訴えると多くの方々に共鳴していただけます。異文化理解は終着点のない取り組みですが、まずは定期的に成功例や失敗談など多様な体験談などを共有し合う場を設けるなど、大きな負担を感じない形で少しずつ多様な知見を蓄積していくことが欠かせない取り組みだと考えます。

■九州大学病院 相良先生からのご回答
ご指摘のように、異文化理解への取り組みの優先度は当院における医療従事者の中でも様々です。実際に外国人患者さんと対話して初めて必要性に気付き、関心を抱くようになったという声も聞きますが、すべての医療従事者がこのような経験をすることは困難であるため、本セミナーを含む講習会をIPAC(注:九州大学病院 国際診療センター)を中心に院内に定期的に発信し、少しでも関心を抱くきっかけとなるように努めていきたいと考えています。

外国人(在留を除く)患者は1点単価を20円としているが、他院の状況を知りたいです。また、未収金を発生させず、確実に徴収するためにどのように取り組めば良いでしょうか。

当院が実施した2023年度アンケート調査結果によると、全国の国立大学病院やJMIP認証医療機関40病院のうち1点30円徴収している病院が最も多く、次いで10円、20円の順でした。社会医療法人で点数倍で請求することができない病院もあるため、それぞれ工夫をしているようでした。事前同意、海外保険加入確認の徹底、入院時に特定の保険への加入、エージェントとの契約等が挙げられるかと思います。(九州大学病院)

通訳ツールとしてグーグル翻訳やポケトークなどの機械翻訳を用いる場合、誤訳時に誰が責任を負うのかやカルテへの記載をどうするかなどの規定は一般に定められているでしょうか。

医療通訳の適切な媒体や利用場面については、徹底して周知しており、頻用の文言は診察室や病棟全てに配置しています。初診時全ての外国籍患者より、誤訳に関する責任は一切負わないことを明記した包括同意書に同意いただいていますが、適切な媒体を利用せず誤訳が発生することを防ぐため、継続的な周知徹底を行っています。(九州大学病院)

AI等による通訳ツールが発展している今、自分で勉強して医療通訳を目指すことに価値はあるのでしょうか。

医療現場だけでなく、AIはあくまで補助的な役割でコンパニオンとしての活用が望ましく、間違った情報が提供されるリスクを常に意識しておく必要があるため、人が行う医療通訳とは一線を画しているかと思います。(九州大学病院)

患者のルーツごとに診療ガイドラインも変わると思いますが、そこの医療格差をなくすにはどうしたら良いでしょうか。

当院では、世界の診療ガイドラインに準拠した日本における診療ガイドラインを照らし合わせながら、患者さんの状態・背景・治療に対する希望を考慮した上で、診療科が治療方針を提案します(薬剤投与量や薬剤選択はあくまでも日本の診療基準に沿って決定します)。先進国と発展途上国の医療水準の格差が少しでも軽減するよう途上国への医療教育も必須であり、世界全体でみつめるべき問題であると考えます。(九州大学病院)

「外国人患者対応マニュアル」には言葉の壁への対応として機械翻訳、医療通訳等の使い分けの記載はしていますか。可能であれば誤訳時の責任の所在がどのように規定されているかご紹介いただけますと幸いです。

医療通訳の適切な媒体や利用場面については、徹底して周知しており、診察室や病棟全てにラミネートしたものを配置しています。初診時全ての外国籍患者より、誤訳に関する責任は一切負わないことを明記した包括同意書に同意いただいていますが、適切な媒体を利用せず誤訳が発生することを防ぐため、継続的な周知徹底を行っています。(九州大学病院)

精神疾患での幻覚妄想状態への対応はどうすべきでしょうか。
例えば、「神のお告げを聞いた」という訴えは、日本人だと幻覚だと考える可能性が高いが外国人では一般的な感覚なのでしょうか。

医療通訳介在を前提とし、診療科と精神科リエゾンチームの連携での判断となりますが、患者家族、日本人の同僚や上司等国内にいる親しい方々との連携が必須になるかと考えます。場合によっては母国の家族への連絡等も行っています。(九州大学病院)

外国人は労働力として欠かせない存在となり、日本の人口の大部分を占めるようになっています。アメリカでは、異文化間の看護が看護カリキュラムの一部となっており、それ以来大きな進歩を遂げています。日本もそろそろ異文化間、異人種間看護を医療カリキュラムに組み込む時期に来ていると思いますか。そうすれば、現在および将来の医療提供者がより多くの能力を身につけ、避けられない事実である外国人患者に対する怯えを軽減できるようになります。これにより、外国人患者に対するより正確で安全なケアも確保されます。

現在日本国際看護師(NiNA)の認定試験等積極的に行われていますが、仰るように教育課程に異文化に関わる事項を盛り込むことも重要かと思います。同時に、医療通訳や機械翻訳機の使い方や利用時の注意点等マスターする事も重要なスキルと思います。(九州大学病院)

受付で得た情報(診療申込書)をIPACで入力するとおっしゃていましたが、外国人が来た時は全て受付から呼ばれるのでしょうか。

診療申込書や同意書が当日から翌日にかけIPACに共有されるため、IPACスタッフが国籍、言語レベル、宗教的配慮事項についてカルテ入力を行っています。その他、初診外国人、新入院外国人患者についても全て集計、登録を行っていますが、通訳に関しては言語支援「要」と回答した方のみ初診時に呼ばれ対応しています。(九州大学病院)