mediPhone導入事例インタビュー

社会医療法人厚生会 中部国際医療センター様

患者支援センター部
部長 榊原 智宏様、係長 山田 亜光様(中国語医療通訳者)

院内通訳者の配置とメディフォンの活用で、全国有数の外国人在住地域で医療を提供。県内随一の受入れ体制を整備する患者支援センターの榊原様、山田様にお話を伺いました。
(2024年4月2日インタビュー実施)

外国人は全患者の約5% 県内トップレベルの受入れ体制を整備

社会医療法人厚生会 中部国際医療センター様

多言語対応の受付機や自動精算機も導入

Q. 貴院の概要と外国人患者さんの来院状況について教えてください。

榊原様:
当院は病床数502床の急性期医療を担う病院です。JMIP(外国人患者受入れ医療機関認証制度)やJIH(ジャパンインターナショナルホスピタルズ)などに認証されている他、岐阜県における外国人患者受入れ拠点病院としても指定されています。

所在する岐阜県美濃加茂市は、近隣の可児市や坂祝町と共に、外国人比率の高い地域です。昨年度(2023年度)は、全患者のうち5.5%が外国人の方でした。

患者さんの国籍は、ブラジルに次いでフィリピンが多く、この2か国で約9割と大半を占めています。外国人の患者さんはお子さんを持たれる方も多く、診療科別では産婦人科、小児科の割合が多くなっています。

受入れにあたっては、院内通訳者をポルトガル語で2名、英語とタガログ語、そして中国語で1名ずつ配置しています。県内でこれだけ通訳体制が充実している病院は他にないので、周辺地域だけでなく遠方からも患者さんが来られることもあります。

在住外国人が多い地域での実績も導入を後押し

社会医療法人厚生会 中部国際医療センター様

使用していただいているメディフォンのタブレット端末(写真右:山田様)

Q.メディフォンを導入された背景を教えてください。

榊原様・山田様:
メディフォンを導入する前に、他の会社が提供する通訳サービスを3年間ほど利用していました。その会社のサービスが利用できなくなったことを機に通訳サービスを探し始め、メディフォンに相談しました。

当院はタガログ語など希少言語の要望も多くあるので、対応言語が幅広いメディフォンは良いと思いました。また、静岡県浜松市など、患者の国籍が当院と近い地域で導入実績があったこともあり、メディフォンと契約することにしました。

院内通訳と電話通訳のコンビネーションで患者の待ち時間を短縮

社会医療法人厚生会 中部国際医療センター様

院内のサイネージ。通訳サービスの案内が多言語で表示される

Q.実際の現場では、メディフォンをどのようにご活用されていますか。

榊原様・山田様:
夜間・救急など院内通訳者がいない時間帯で頻繁に利用していますが、院内通訳者がいる時間帯であっても、立て込んでいて対応できない時にメディフォンの電話通訳を利用しています。

院内通訳者は、診療現場で通訳をしている最中などでは、他の患者さんへの対応に呼ばれてもすぐに行けないことが多くあります。例えば、患者さんが病院に来てすぐの段階では症状や病状を聞き取り、診療科に振り分けるのですが、今までは院内通訳者が対応できない場合、来院後すぐの患者さんを待たせてしまうことがありました。

そこで、来院して最初の聞き取りではメディフォンの電話通訳を利用して症状や要望を聞くことで診察までの時間を短縮し、患者さんを長時間お待たせすることがなくなりました。

院内通訳者の人数は限られているので、来院が重なれば両方には対応できません。診察前の最初の情報はメディフォンで聞き取って、診療科では院内通訳者が対応する。当院とメディフォンのコンビネーションで対応している点も、1つの成果だと思っています。

同伴者通訳のリスクを経験し、プロによる医療通訳の必要性を痛感

社会医療法人厚生会 中部国際医療センター様

タブレットの設置場所

Q.メディフォンをご利用いただいて、良かった点があれば教えてください。

榊原様・山田様:
ベトナム語やインドネシア語など、院内通訳者で対応できない言語を利用することが多いのですが、そういった言語の場合、以前は患者さんの勤務先の会社にいる通訳を連れて来られる場合が多くありました。

同伴で来られる通訳の方たちのほとんどは医療通訳の訓練を積んでいないので、医療の専門性を持ったメディフォンの通訳者に対応してもらうのは、当院としても安心です。

また、患者さんが仕事中の事故で受診していても、勤務先の通訳者よりメディフォンの通訳者が第三者の立場で対応することで、内容をきちんと通訳してもらえていると思います。

患者さんの同伴者による通訳では、先生が長く話した内容を短時間で伝えている場合があり、本当に伝わったのかと現場の先生やスタッフが不信感を持つことも少なくありません。実際に、同伴者が通訳したICの内容が患者さんに伝わっていなかったことが後になって分かったケースもありました。

医療であるがゆえに患者さんには正確な内容を伝えなくてはならないので、しっかり対策をしていきたいと思っています。

外国人患者受入れの先進機関として、患者や地域へ貢献

Q. 今後の展望について教えてください。

榊原様:
外国人の患者さんが病気を抱えながらも働いていくための就労支援ができるよう、取り組みを進めています。当院には医療通訳者がいるので、院内の相談員とコンビを組むことで、ハローワークの情報など外国人の方になかなか伝わっていないことをアナウンスできるようにしていきたいです。

また、地域に医療通訳者を育成するネットワークを作りたいという思いもあります。大きい病院でないと医療通訳者を採用するのは現実的に難しいと思いますが、今後日本が医療分野において国際化を進めていくのであれば、やはり現場で医療通訳者を育てていかないといけない。我々は育成の経験をお伝えすることができるので、ぜひ地域に仲間ができてほしいなと思っています。