mediPhone導入事例インタビュー
国際教養大学様
教職員支援室
鈴木 和代様、鎌田 育子様
在籍する教員の半数以上が外国籍。
通院や受診を含む生活面も教職員を手厚くサポートされる、教職員支援室の鈴木様、鎌田様にお話を伺いました。
教員の半数以上が外国籍 生活面まで幅広くサポート
教職員支援室。採用・労務といった人事業務に加え、生活面でも教職員を手厚くサポート。
Q. 貴学の外国籍の教職員の在籍状況と、貴室について教えてください。
鈴木様・鎌田様:
本学の教員はおよそ70名おり、そのうち半数以上が外国籍になります。国籍は英語圏に限らず様々ですが、英語を共通言語としてコミュニケーションを取っています。
私たち教職員支援室は他の事業所でいう人事業務もおこないますが、それだけではなく、生活面も含めて教職員をサポートしています。
本学のある秋田県において、市役所や郵便局、免許センターなど生活に必要な公共機関は基本的に英語での対応が難しい場合が多いです。ご家族も含め海外から来日して居を構え、仕事をするにあたり、言葉が通じないのは不安だと推測できます。そこで、自立して生活できるよう教職員支援室がサポートしています。
プライバシーの保護や専門用語の通訳に課題を感じて、導入
Q. メディフォン導入の背景について教えてください。
鈴木様:
日本語運用に不安を抱える教職員の医療面でのサポートに限界を感じていました。
病院に行きたいという希望があった時、病院を紹介するだけではなく、私たち教職員支援室のスタッフが一緒に行って通訳をすることもよくありました。サポートをする中で、私たちが同僚として知らなくていいプライベートな情報まで触れることになったり、サポートを受ける教職員も同僚に知られたくないところまで言わなくてはいけなかったりということがありました。
鎌田様:
私の体験談になりますが、以前、病院に教員の通訳として同行した際、精密検査が必要と判断され、検査をしながら必要であればその場で病変を切除するかもしれないという話になりました。検査室では日本人の自分でも聞きなれない用語が飛び交うなか、医師の言っていることをすぐに通訳して教員に伝えなくてはいけませんでした。医療用語は特殊で知らない言葉ばかりであったため、医療現場での通訳サポートをする事の難しさを実感しました。
鈴木様:
プロの医療通訳の必要性を感じていたところで、本学がmediment*を導入することになりました。メディフォンが医療通訳の事業から始まった会社だと聞いていましたし、medimentの導入が好評だったこともあったので、さらなるステップアップが出来る好機だと思っていたところ、本学に合った提案をしていただいたために、医療通訳も導入することになりました。
*medimentとは
メディフォン(株)が提供する従業員のクラウド健康管理システム。多言語対応で、外国籍の従業員がいる事業所でも利用可能。
https://mediment.jp/
通院での同行が不要に サポートする職員の業務・心理面の負担も減
Q. 実際にご利用いただいた事例や、役に立ったと感じられた場面があればお伺いできますか。
鈴木様:
三大疾病の一つにかかった教職員の対応で活用しました。
その教職員は発症した直後から入院・退院まで、保健室(本学の看護師)や病院側の努力で言語の問題を乗り越えることが出来たのですが、その後通院が必要になりました。
本学の看護師は英語が堪能です。しかし、学生のためにも仕事をしていますので、教職員1人の通院に毎度同行するわけにはいきません。定期的に病院に行かなければならなくなった時に、メディフォンがあることで看護師が同行する必要がなくなりましたので、導入して良かったと思いました。
私も同席してメディフォンの医療通訳を見たのですが、些細な症状や痛みの表現といった難しい部分も通訳してもらっている様子でした。今まで自分が通訳をしていた時は、症状の微妙なニュアンスを伝えるのが難しくて困っていたので、医療通訳を使うことで肩の荷が下りました。
鎌田様:
メディフォンの導入以前に、出産サポートをはじめ、教職員が私たちに見られたくないだろう場面にも立ち会ってきました。医療に関するサポートはプライベートな内容が本当に多いです。メディフォンの導入で、通訳として第三者が入ることにより、同僚に知られずに病院に行けたり、医師にプライベートな相談ができたりする事が可能になりました。今までより教職員のプライバシーを守れる環境が作れているのは良い事だと考えております。
病院での受け入れには課題も 鍵は地域連携
教職員支援室が入る建物の外観
鎌田様:
一方で、上手くサポートできなかった事例もありました。
本学が所在する秋田県ではない場所で出産を希望する教員がおり、受入れ先を探すため、色々な病院に相談したのですが、機械通訳やオンライン通訳は不十分とされ、実際の人間の通訳者が同行できる状況でなければ受け入れは難しいと言われる事がありました。メディフォンは医師の言葉を正確に通訳でき、24時間体制で対応が可能な事も説明しましたが、その地域で受け入れてくれる病院を探すことは結局出来ませんでした。世の中、利用できるサービスは増えてはきているものの、受け入れ態勢上、それらのサービスを利用ができないという病院がまだまだあることも感じます。
秋田市内の病院やクリニックでは、どこの産婦人科も受け入れると回答いただいていたため、言語の問題で受け入れられないという他の地域の病院の対応に正直驚きました。外国籍の方でも平等な医療を受けられるためには本学やメディフォンのサポートだけでなく、医療現場を含めた地域全体で連携する必要があると強く思いました。
国際化を進めるための言語のサポート
Q. 外国籍の職員様の言語サポートを検討されている大学様へのアドバイスがあれば、お伺いできますか。
鈴木様:
少子化がますます進む中、大学がグローバルに生き残るためには海外からも学生や教職員を受け入れるなどの施策を避けることはできない時代になったと思います。大学の国際化を進めるためには言語の問題が伴いますが、いざ医療が必要になった時に言語をサポートする体制は必要です。
また、私個人としては、本学がメディフォンの医療通訳の契約を止めることが目標です。「止める」というよりは、医療通訳を導入する医療機関が増え、大学や企業が契約しなくとも広く浸透し、本学が契約を不要と思うことを期待しています。そのためにも、私達が利用することで地域の医療機関に便利さを地道に広めていくことが必要だと思っています。三大疾病の一つの事例で関わった病院の先生もそうでしたが、私たちを通して、メディフォンを利用する病院側にオンラインでプロの医療通訳を利用できるサービスがあることを初めて知ってもらい、こういう便利なものがあるのだと興味を持ってくれました。
微々たる事例ではありますが、少しずつ医療通訳を広めていくことで、都会の便利さがない秋田県のような田舎へも外国の方に「どうぞきてください」と言えるように、地域全体が変わっていったらありがたいです。