mediPhone導入事例インタビュー

NTT東日本関東病院様

NTT東日本関東病院様 国際室 高山様、武藤様

院内通訳者と遠隔医療通訳を併用。院内周知の徹底で現場の対応力を底上げし、安全かつ効率的に数多くの外国人患者さん受け入れを実現されているNTT東日本関東病院の国際室の高山様、武藤様にお話を伺いました。
(2023年9月19日インタビュー実施)

Q. 貴院の外国人患者受入れに関する方針や、外国人患者さんの来院状況について教えてください。

高山様:NTT東日本関東病院の経営方針の1つが「国際化の推進」で、地域の英語・中国語を話す方を中心に積極的に外国人患者さんを受け入れています。国際的な医療機能評価機構であるJCI※1やJMIP※2などの認証も取得しています。

外国人患者さんの受入れ人数は、2019年度が7,500人、2020・2021年度が約6,000人、2022年度が約8,000人でした。コロナ禍で減少していた外国人患者さんの数が、コロナ禍以前を超える勢いで回復しています。在住の外国人患者さんは、日本で働いており、家族もいらっしゃるような方がほとんどですね。国籍としては、中国・韓国・アメリカで大半を占めます。最近では、ベトナムなど東南アジア圏の方が増えてきています。

※1【補足】JCI認証(Joint Commission International)とは
患者さんの安全の担保と医療の品質、院内で継続的に改善がおこなわれる仕組みがあるかを評価する認証機構です。JCI認証は世界で最も厳しい審査基準を持つと言われており、2023年10月18日時点で日本では30の医療機関が取得しています。

※2【補足】JMIP(外国人患者受入れ医療機関認証制度)とは
外国人患者さんが安心・安全に日本の医療サービスを受けられるため、多言語、異文化・宗教に配慮した体制を整えている医療機関を認証する制度です。

Q. 貴院における国際室の業務を教えてください。

高山様:外国人患者さんの受入れの調整をおこなう、いわゆるコーディネーター業務と、通訳を必要とした外国人患者さんの医療通訳、院内資料などの翻訳が主な業務ですね。業務の内訳としては、医療通訳が5割以上、2~3割がコーディネーター業務、残りの1~2割が翻訳業務になっています。

Q. 貴院における外国人患者さんの対応の流れを教えてください。

NTT東日本関東病院様

タブレットを使用している様子

高山様:メディフォンがインストールされたタブレットを受付に配布しており、日本語対応が困難だと現場が判断すればすぐに使えるようになっています。初診の患者さんの申込書には、自分の国籍と言語的サポートが必要かを書く欄があるんです。そのため、日本語が不自由な患者さんが来院したら、初診申込書で言語や通訳の要不要を受付担当者が判断し、英語や中国語の場合は院内の通訳者を呼び、それ以外はメディフォンを使ってもらうという対応をしています。

武藤様:国際室はありますが、受付に外国人患者対応の担当者はいません。基本的にすべての受付スタッフがメディフォンの使い方を理解できるようにしています。

Q. 医療通訳はなかなか現場に浸透しないと悩んでいらっしゃる医療機関も少なくない中で、貴院では医療専門の通訳者による通訳という手段が非常に浸透していらっしゃいます。ここまで浸透するにはなにか明確なメリットを皆さんが感じていらっしゃるからだと思うのですが、医療通訳を用いる理由・メリットを教えてください。

NTT東日本関東病院様

NTT東日本関東病院国際室の皆様

高山様医療通訳を用いる理由の1つは、患者さんの対応時間を短くするためです。外国人患者さんの受入れは、対応時間が長くなることが一番の懸念事項なんですよね。

そして対応時間を短くするためには、単なる言語の通訳ではなく、国と国との文化の違いの橋渡しが必要だと思っています。文化の違いを理解して医療通訳の経験を重ねた人が対応しないと、患者さんの自身が受ける医療への理解度が高まりませんし、スムーズに診療が進みません。それに、医療者がストレスを感じてしまうこともあります。
そう考えると、院内のスタッフだけで患者さんと医療者の橋渡しを全てやるには限界があるので、経験と知見を持った外部のサービスを活用していくことも有効だと考えています。

武藤様:医療通訳の介入は、医療安全の観点からも重要です。医療の世界は新しい技術が次々に生まれるため、薬の処方やオペなどの様々な医療行為について、患者さんに理解してもらうことは簡単ではありません。医療通訳を用いれば、より正確に理解・同意してもらえるため、医療がよりスムーズになり、リスクも軽減できるんですよね。

Q. 現場への遠隔医療通訳の浸透のために、おこなった施策などを教えてください。

武藤様:メディフォンの利用マニュアルは院内のインターネットからダウンロードできるようにしております。
また、看護部の中でリンクナースが主催する外国人患者さんを含む患者対応に関するセミナーがあり、去年までメディフォンさんから講師を呼んで実際に指導してもらっていました。やはり、その場で実際に端末を触って使い方を確認してもらうことで、具体的なイメージがわきますので、外国人患者さんが来たらこうすれば良いのだなと理解してもらえる効果がありますね。このセミナーがうまくいって、全員が使い方を把握してくれるようになりました。
今年は現場で使い方がほとんど浸透しているので、わざわざ開催しなくても良いかなと思えるぐらいにまでなっています。

Q. NTT東日本関東病院国際室の皆様が今後外国人患者さんの受入れで改善したいことや、目指していることを教えてください。また、外国人患者受け入れ体制をさらに整備していく上で、メディフォンへの要望などもいただければ幸いです。

高山様:外国人患者さんも可能な限り受入れていきたいと思っていますが、そのためには外国人の患者さんの対応時間をできるだけ縮めることが必要です。しかし、全ての場面で医療通訳を用いては時間がかかりすぎてしまいます。
そこで、話すことが毎回決まっている場面などでは、ビデオ解説や指差しツールなども活用していきたいと思っています。特に、救急外来にウォークインで来られた患者さんへの最初の説明や確認、薬の処方の場面などで指差しツールなどがあれば大変便利ですよね。メディフォンさんは、医療通訳の提供だけでなく、外国人医療に関するさまざまなサービスを提供されていると思います。外国人医療を専門でやっている知見を生かして、指差しツールなどの提供も検討いただければ助かります。