mediPhone導入事例インタビュー

岡山済生会総合病院様

岡山済生会総合病院 
中央手術室 看護師長心得 西中 綾子様
産婦人科病棟 助産看護師長心得 兼田 紘美
救急センター 看護師長 矢部 美香様
総務課担当 孫 穎悟様

外国人患者受入れ体制整備を本格的に行っている岡山済生会総合病院の皆様の現場課題や体制整備について、遠隔医療通訳・AI翻訳(以下「mediPhone(メディフォン)」という)の利用環境の構築と合わせて、取材をしてまいりました。

岡山済生会総合病院の特徴と地域的立ち位置

岡山済生会総合病院様

孫様)岡山済生会総合病院は、地域中核病院として24時間365日の救急体制を敷き、地域住民と訪日外国人の命を守っています。岡山市内の中心部に位置し、二次救急搬送は年間4,542件(2023年度)を受け入れており、専用の救急入口と常駐の救急医チームで対応しています。また、日本医療機能評価機構に認定されたがん診療連携拠点病院として、外科、内科、放射線科、緩和ケア科が連携し、2023年度には853件の悪性腫瘍手術を実施しています。

近年、観光振興と企業誘致の影響で訪日外国人と在留外国人の受入れが増加傾向にあります。産婦人科の病床は32床を備え、緊急の帝王切開や無痛分娩も行っています。これらの傾向は、英語・中国語・ベトナム語に加え、インドネシア語ベンガル語など多言語ニーズの高まりを示しており、言語対応の強化が急務です。専任の通訳コーディネーター配置やWi‑Fiによるデジタルサービス提供の安定化、端末貸出体制の構築など内部体制の整備を進めています。今後は通訳予約システムのUX改善や定期的な多言語研修、地域医療連携会議での成功事例共有を強化していく計画です。

部署別受入れ実態と医療通訳の活用状況

岡山済生会総合病院様

中央手術室(西中様)

西中様)帝王切開手術中や術前訪問の場面で「専門的な指示も通訳者のサポートで一回で正確に伝わるようになり、スタッフの安心感が格段に向上した」と感じます。。特に通訳者がリアルタイムで医療用語を補完してくれることで、通話品質の高い環境が整い、以前よりスムーズな手術進行が可能になりました。一部手術室でWi‑Fi改善のニーズはあるものの、導入効果は明らかです。

産婦人科(兼田様)

兼田様)「コミュニティの口コミで導入効果が広がり、ベトナム系を中心とする妊産婦から『安心して通える』との声が増えた」と報告を受けています。費用面では出産育児一時金の範囲内で通訳も利用でき、「コストパフォーマンスが高い」と好評です。ポルトガル語やウクライナ語などマイナー言語でも事前予約で確実にサポートを受けられ、患者満足度が向上しています。

救急センター(矢部様)

矢部様)「夜間・休日の急患対応でも、多言語通訳で不安な表情が減り、迅速な診断と治療につながっている」と実感します。自動翻訳アプリでは補えない医療用語も正確に伝えられ、患者と医師の双方向コミュニケーションが円滑になりました。

総務課(孫様)

孫様)「退院後の請求・保険返金手続きも通訳サポートを活用することで、手続き時間が従来比で短縮し、患者からの理解が深まった」と感じます。特に、日常的な問い合わせや継続的なフォローアップでのコミュニケーションが向上し、未収金リスク低減にも貢献しています。

今後の外国人患者受入れ体制強化に向けた方針

岡山済生会総合病院様

岡山済生会総合病院様

孫様)岡山済生会総合病院では、大阪・関西万博2025や大型国際会議などの影響を鑑み、多言語対応のさらなる強化に取り組んでいます。これらの国際的イベントにより多国籍の来訪者が増加し、要求される言語範囲が一層広がっているためです。大阪・関西万博2025は、開催が大阪府のため近隣ではありませんが、会期中の訪日外国人は数千万人規模となります。この波及効果により岡山県内の医療機関にも一時的に多言語対応の需要が高まっており、当院では通訳予約システムの処理能力向上、少数言語への迅速対応、Wi‑Fi環境の安定化を進めることで、外国人の方々にも安心して医療を受けられる体制整備を強化していきたいと考えております。

孫様)改めて、外国人患者の受入れにおける各部署共通の課題は、主に時間コスト、技術環境、そして通訳精度に集約されます。まず、多言語対応には通常業務の約2倍の時間を要することが確認され、スタッフからは「通訳を待つ間の空白が短縮されれば、より迅速なケア提供が可能になる」との声が上がっています。

技術環境においては、手術室や救急センターでのWi‑Fi電波状況にばらつきが見られ、一部エリアでは通訳接続が一時的に途切れることがあります。これに対し、病院は全館Wi‑Fiの再設計を計画し、電波強度の最適化とバックアップ回線の確保を進めています。通訳精度では、AI自動翻訳では専門用語の誤訳リスクが依然として課題です。そのため、医療通訳士による事前チェック体制を強化し、定期的なフィードバックループを構築。併せて、診療ガイドラインやマニュアルの翻訳版を整備し、通訳者と医療スタッフが共通言語を持つことで、正確かつ一貫性のあるコミュニケーションを実現しようとしています。

孫様)今後は、これらの改善策を着実に実行するとともに、ビデオガイドや多言語説明書など標準化資材を拡充し、担当者の業務負担を軽減。さらに、定期的な多職種研修を通じて、全職員の対応スキルを底上げし、質の高い多言語医療サービスを安定的に提供できる体制を目指そうと考えております。

mediPhone(メディフォン)導入によって、リアルタイム通訳によるスタッフの安心感向上や、多言語研修・ICT基盤強化による効率化意識の芽生えが明確に示されたと思います。医療機関としては、単なる言語支援ツールの導入に留まらず、組織横断的な運用設計、技術インフラ整備、人的リソースの育成が不可欠です。今後も、地域の特性や国際イベントの動向を踏まえた体制強化を続けることで、患者満足度のさらなる向上と地域医療の信頼性確立を目指したいと考えています。