mediPhone導入事例インタビュー

椙山女学園大学様

椙山女学園大学 国際交流センター事務室 池端 健様

椙山女学園大学 池端様

国際交流センターでは、海外の交換留学協定校との交流プログラムの運営や、留学に関心のある学生へのアドバイスや情報提供などを行う。交換留学やショートプログラムで来日した留学生は学生寮に滞在し、日本語・日本文化を学ぶほか、日本人学生とともに多様な日本文化を体験するイベントにも参加している。

椙山女学園大学について

椙山女学園大学様

椙山女学園大学は、愛知県名古屋市と愛知県日進市にキャンパスを構える女子総合大学です。1905年設立の名古屋裁縫女学校を起源とし、1949年の大学設立以降、70年以上にわたり女性の高等教育に貢献しています。

時代のニーズに応じて学部を拡充し、現在、7学部11学科4研究科1専攻科を有する総合女子大学として、高い知性と豊かな情操を兼ね備えた人材の育成に力を注いでいます。

教育理念は「人間になろう」。社会で活躍する自立した女性の育成を目指し、人間教育と国際交流に注力。国際交流センターを中心に、交換留学の支援を通じてグローバルな人材育成を推進しています。

サービス導入にあたって

課題

外国人留学生の医療支援を一部の教職員に依存しており、急なトラブル発生時に十分な対応が取れない体制であること

💡 解決策

時間外や土日でも対応できる多言語医療通訳サービスを導入することにより、教職員の負担を軽減しつつ、外国人留学生が安心して利用できる環境を整えること

🔮 サービスに期待すること
外国人留学生の安心と教職員の負担軽減に加え、大学の国際化を支える基盤強化で本学の魅力向上につながること

国際交流センターのミッションを教えてください

池端 様)大学全体を対象にした交換留学プログラムの企画・運営を行っており、学生の海外派遣と海外からの留学生の受け入れの両方を担当しています。

出発前のガイダンスから帰国後のフォローアップまで一貫したサポートを提供し、留学生に対しても生活・学習支援を行いながら、異文化交流の促進にも取り組んでいます。

学部増設に伴う留学生受入れ状況について教えてください

椙山女学園大学様

※無料のスクールバスを運行

池端 様)椙山女学園大学では、教育学部や看護学部など資格取得を重視した学部を新設し、20年で3学部から7学部へと拡充しました。これに伴い、留学生受け入れ体制の整備も進められています。

一部の学部に導入されていた留学生入試枠は、2025年度から全学的に展開を計画しており、さらに私費留学生の受け入れに注力していく方針です。

国際化の推進は学長のもとで方針が明確化され、コロナ禍以降の数年で本格化。2024年度は交換留学生が年間20名弱に対し、私費留学生はごく少数であり、今後の強化が課題となっています。

外国人留学生を巡る課題(文化・価値観・体制)について教えていただけますか

椙山女学園大学様

池端 様)現在、外国人留学生の数は少なく、大きな混乱や深刻なトラブルは発生していません。ただし、交換留学生が授業に参加する中で、日本人学生との価値観の違いが浮き彫りになる場面もあり、特にディスカッションでは「違いを認め合う」学びの機会となっています。

一方で他大学では、日本語の微妙なニュアンスや課題提出ルールへの理解不足、通学の不安定さなどの課題も報告されており、本学でも留学生の増加に伴い同様の問題が起きる可能性を認識しています。特に、学生数が増えると個別支援が難しくなるため、早期の体制整備が必要です。

また、支援が特定の教員に集中する構造も課題です。担当者不在で支援が滞るリスクがあるほか、教職員が時間外に病院へ付き添う事例もあり、属人的な対応による限界が明らかになっています。今後は、継続可能な組織的支援体制の構築が求められています。

実際に起きた医療対応トラブルとその教訓について

椙山女学園大学様

池端 様)2024年の夏、短期プログラムの一環として約30名の留学生を受け入れましたが、その際に医療対応の課題が顕在化する出来事がありました。参加していた台湾からの学生が体調を崩し、救急搬送が必要な事態に発展。救急隊からは「通訳できる人の同乗をお願いします」と要請されました。

幸いにもその日は中国語対応が可能な教員が偶然出勤していたため、病院内での通訳対応がスムーズに行われ、適切な処置を受けることができました。しかし、この対応は極めて偶発的なものであり、もし対応言語が異なっていたり、教員が不在であれば、適切な医療が受けられなかった可能性も否定できません。

この出来事を通じて、大学としては「多言語での緊急医療対応体制の不備」というリスクを強く実感することとなり、事前の備えの重要性を痛感しました。その直後に2025年度の予算編成があったこともあり、具体的な対策として「外国人留学生への医療支援体制」の導入検討を始めるきっかけとなりました。

mediPhone Assistance Line サービス導入理由と比較検討したポイント

椙山女学園大学様

池端 様)今回サービスを導入するにあたって、3〜4社を比較検討しました。主眼に置いていたのは、「留学生が病気やけがをした際に、自分自身で対応できる体制を構築する」という点です。これまでのように教職員が対応を担うだけでは限界があるため、学生が直接使える仕組みを求めていました。

導入の決め手となったのは、次の3つの要素をすべて満たしていたことです。

  1. 協定校の言語を幅広く網羅していること
    英語・中国語に加えて、協定校の留学生が話す韓国語・タイ語・マレー語など、33言語対応という点は非常に魅力的でした。他社では対応言語が限定的なところもあり、比較する中で最も広範囲な言語対応力を持っていた点が評価の決め手となりました。
  2. ユーザーフレンドリーな利用設計
    留学生が直感的に使えるインターフェースであることも重要でした。複雑な手順を踏まずに医療にアクセスできるという点で、学生自身の安心感につながると判断しました。
  3. 24時間365日対応の体制
    時間帯を問わず対応してもらえることは、緊急時の信頼性に直結します。この点についても他社との差別化が明確でした。

こうした条件をすべて満たしていることに加え、教職員の負担軽減と留学生への安心の提供という両立が可能である点が、本学のニーズと非常にマッチしていると感じています。

導入による学内意識と期待する効果

椙山女学園大学様

池端 様)今回のサービス導入は、学内の意識変化に大きなきっかけとなりました。予算化にあたっては、学長に直接プレゼンを行い、「いざという時の備えが必要」と訴えたことで理解を得ることができました。国際交流を重視する学長の姿勢もあり、“使わないに越したことはない”サービスに予算がついたことは、大きな前進でした。

導入によってまず期待されるのは、教職員の負担軽減です。これまでは夜間の病院対応を教員が担うこともありましたが、今回の導入により「こういう仕組みがあります」と明確に案内できるようになり、新体制へのスムーズな引き継ぎにもつながっています。

また、留学生にとっても、緊急時の対応体制が整っていることが安心感につながり、留学生活全体の満足度向上にも寄与すると期待しています。

椙山女学園大学では、外国人留学生の安心・安全な留学生活を支えるため、医療サポート体制の整備に取り組んでいます。近年は、授業料減免や日本語講座といった支援は多くの大学で一般化していますが、医療面の対応体制を明確に整えていることは、大学の差別化要素として非常に大きいと感じています。

実際にこうしたサポートがあることは、留学生の不安軽減に直結し、大学選びの際の安心材料にもなるため、受け入れ拡大を進めようとしている大学にとっては重要な導入ポイントです。規模の大小を問わず適応可能な仕組みである点も、他大学にとって参考になるのではないでしょうか。

池端 様)また、今回の導入により、「何かあったときに対応できる体制がある」という事実が、学内のマインドにも波及効果をもたらしています。これまで「留学生支援は国際交流センターの役割」とされがちだったところから、教務や学生課など他部署の職員にも国際対応への意識が芽生えはじめています。

こうした取り組みは、大学全体の将来的なビジョンとも深く結びついています。学長は「常に外国人留学生がキャンパスにいる環境を整えたい」という考えを持っており、その存在が日本人学生の成長にもつながると期待しています。教育理念である「人間になろう」のもと、多様な価値観と共に学び、協力し合える力を育てることが、国際化を進める本質的な目的でもあります。