沖縄で利用できる医療通訳サービスのご紹介|在住外国人の状況も解説

  • 2024.08.06

    医療通訳

沖縄県は、訪日外国人観光客の増加が目覚ましく、医療機関に外国人が来院する可能性も増えているでしょう。
本記事では、沖縄において医療機関が利用できる医療通訳サービスや、沖縄における外国人の状況を解説いたします。

沖縄で使える医療通訳サービス

日本語に不自由のある外国人患者さんが来院したとき、医療通訳を使用することが円滑な受入れにおいて重要です。沖縄で医療機関が使える医療通訳サービスを紹介します。

1. おきなわインバウンド医療対応多言語コールセンター事業(令和6年度)

インバウンド医療対応多言語コールセンター事業は、外国人観光客が日本で急な病気やケガに見舞われた際にも、医療機関にスムーズに受診することができることを目的として沖縄県により実施されています。そのため、在住外国人の来院の際には使えないことが注意点です。

インバウンド医療対応多言語コールセンター事業では全部で4つの窓口を設けています。それぞれの窓口の役割と対象について本ブログで解説いたします。また、詳細を知りたい方は令和6年度おきなわ医療通訳サポートセンターのウェブページからご覧いただけます。


遠隔医療通訳については、以下の記事で詳しく解説しております。ぜひご活用ください。

医療機関向け 電話・映像医療通訳サービス

沖縄県内の医療機関を対象に、24時間365日、外国人観光客が来院した際に電話機の受け渡しか映像端末による通訳を利用できるサービスです。

厚生労働省の「外国人患者受入れのための医療機関向けマニュアル」において、診察や検査の説明など医療用語が使用されるような場面では、翻訳機ではなく、医療専門の通訳者による通訳の利用が推奨されています。外国人患者さんを安全かつ円滑に受け入れるために、通訳サービスを利用すると良いでしょう。

【補足】医療機関向け 簡易翻訳サービス

沖縄県内の医療機関を対象に、外国人観光客の対応に必要な問診票や検査説明資料などの翻訳をおこなってくれるサービスです。24時間365日対応しており、原則依頼を受けてから72時間以内に納品されます。

【補足】医療機関向け インバウンド対応相談窓口

沖縄県内の医療機関を対象に、外国人観光客の対応に伴う様々な問題や課題について、相談することができるサービスです。対応時間は平日の9時から17時の間になります。

【補足】Free Phone Medical Consultation(外国人観光客向け 急な病気・ケガの電話相談)

外国人観光客を対象に、病気やケガ等の症状を聞き取り、必要な助言や医療機関などの案内をおこなってくれるサービスです。24時間365日受付けており、対応言語は全部で18言語にのぼります。

2. 沖縄県国際交流・人材育成財団 多文化共生推進事業 医療通訳支援

沖縄県国際交流・人材育成財団では医療通訳者の派遣事業をおこなっています。対応言語は英語・中国語・スペイン語・韓国語等です。

利用の際は、予約を5日前にする必要があります。また、1時間当たり2,000円が通訳者への謝礼として必要になるほか、原則交通費も支給をする必要があります。

詳細はWebサイト医療通訳支援 | 公益財団法人 沖縄県国際交流・人材育成財団 国際交流課からご覧いただけます。

沖縄の訪日外国人の状況

新型コロナウイルス感染症が5類感染症への移行後、日本各地で外国人観光客の増加が伝えられています。ここからは、沖縄における訪日外国人の状況について解説いたします。

外国人の延べ宿泊者数は全国6位で月間約36万人

観光庁が毎月調査をおこない結果を公表している『宿泊旅行統計調査』によれば、2023年6月における沖縄県の外国人の延べ宿泊者数は約36万人で全国6番目の数でした。

2022年3月からの推移を以下のグラフで示しています。

以上のグラフより、コロナ禍以降、急激な勢いで沖縄を訪れる外国人観光者の数が回復してきていることが分かります。

また、観光庁の調査によれば、外国人観光客のうち、医療機関に行く必要性を感じた割合は全体の1.5%です。2023年6月の外国人の実宿泊者数が約12万人であるため、月間約1800人が沖縄で医療機関に行く必要性を感じることになります。

訪日外国人は日本語ができないため、医療通訳は必須

訪日外国人はほとんどの割合で日本語ができないため、言語支援ツールの利用は必須になります。

言語支援ツールには

・機械翻訳

・医療通訳

の二つがあります。

機械翻訳とは、インターネットの翻訳サイトや翻訳機器など、人を介さずに機械で翻訳をおこなう方法です。簡単ですぐに利用できる点や、多くの言語に対応できる点は便利で、AI技術の発展から精度も大きく向上しています。しかし、機械翻訳では不十分な場面も多くあり、厚生労働省では機械翻訳の使用を医療安全の観点から日常会話の場面に限ることを推奨しています。

医療通訳とは、医療専門の通訳者を介して通訳をおこなう方法です。医療通訳専門のトレーニングを受けた通訳者であれば、基本的な医療用語も理解しています。さらに、海外の医療に関する文化や制度についても知っており、トラブルが起こりやすい点に配慮しながら通訳を進めることができます。

また、医療通訳では機械翻訳に比べ話し方を工夫する必要が少ないため、医療者は普段通りで対応を対応を進めやすい点がメリットです。

沖縄県の在住外国人の状況

沖縄県は外国人観光客が訪れているとわかりました。次に、沖縄県における在住外国人の状況についても解説いたします。

在住外国人数は全都道府県で22位

在住外国人の数は全都道府県の中では約2.5万人と23番目(2024年3月時点)に位置しています。しかし、沖縄では米軍基地がたくさんある関係でアメリカ軍人の数が多いですが、アメリカ軍人はこの中にはカウントされていないため、沖縄にいる外国人の数はさらに多いと予測されます。

在住外国人数はコロナ禍前の水準に

在住外国人数もコロナ禍前の水準に戻りつつあります。以下のグラフに、沖縄県における在住外国人数の推移を示しました。

以上のグラフによれば、沖縄県における在住外国人の数もコロナ禍以前である2019年と同じくらいの水準に戻りつつあると分かります。

在住外国人は日本語が話せても漢字の読み書きが難しい

沖縄県が令和2年度に実施した「沖縄県多文化共生推進調査事業」の報告書によれば、日本語で会話できるとした人は全体の約62%でした。また、ひらがな・カタカナ・漢字すべて読み書きができるとした人は約46%でした。

日本語で会話できる人は多くいますが、読み書きが出来るとなると難しい場合があります。特に医師との会話など、難しい内容の場合は日本語では理解できないことも多いでしょう。

そのため、最初に日本語を話しているというだけで判断せず、理解できているか確認しながら診療をおこない、必要に応じた言語支援ツールを利用すると良いでしょう。

【医療機関向け】医療通訳サービスなら遠隔通訳サービスがおすすめ

医療通訳サービスには、医療通訳者の派遣と、遠隔医療通訳の2つがあります。

しかし、遠隔医療通訳の方が様々なメリットがあり、医療通訳の制度整備が進んでいるオーストラリアやアメリカでは遠隔医療通訳が多く利用されています。
以下に遠隔医療通訳のメリットを5つ示しました。

①時間・場所を選ばない予約不要で以下の場面でも対応できます。
・急な来院対応
・深夜の入院患者さんの対応
・外国人からの入電対応
②短時間での利用が可能・通訳者の派遣の場合
多くの場合最短で1〜2時間
・遠隔通訳の場合
数分の会話でも利用可能
③言語の切り替えが可能患者さんの母語が何語かすぐには分からない時であっても、言語の切り替えが可能
④コストが低い・通訳者の派遣の場合
一回当たりの費用が高額になりがち
・遠隔通訳の場合
拘束時間が短く交通費がかからないので費用が抑えられる
⑤質の高い通訳者に頼める・通訳者の派遣の場合
その地域にいる通訳者にしか依頼できない
・遠隔通訳の場合
全国・全世界の通訳者に依頼でき、経験豊富な通訳者に依頼しやすい

安心・安全に医療提供できるよう、外国人患者さんの受入れ体制を整えましょう!

沖縄では在住・訪日ともにコロナ禍以前の水準に戻りつつあります。特に訪日外国人の増加の勢いが強く、外国人が医療機関に来院する可能性も増えています。本記事で紹介した沖縄県の医療通訳事業なども有効活用し、医療通訳を現場で利用できる状態にすることや資料の多言語化など体制整備を進めると良いでしょう。

医療通訳対応10万件以上の実績をもち、全国約88,000の医療機関でご利用いただける、医療に特化した多言語通訳・機械翻訳サービス「mediPhone(メディフォン)」のサービス資料は以下からダウンロードできますので、ぜひご活用ください。


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著者情報

多言語医療ジャーナルPORT(ポルト)編集部

メディフォンは2014年1月のサービス開始以来、医療専門の遠隔通訳の事業者として業界をけん引してきました。厚生労働省、医療機関、消防などからのご利用で、現在の累計通訳実績は10万件を超えております。「多言語医療ジャーナルPORT(ポルト)」は、メディフォンがこれまでに培った知識・ノウハウをもとに、多言語医療に携わる方々のための情報を発信するメディアです。

監修者情報・友久 甲子

友久 甲子

メディフォンの遠隔医療通訳サービスや外国人患者受入れに関する研修事業の立ち上げを経験。外国人患者受入れに関する研修・セミナーの運営や講義を数多く担当し、医療機関の外国人患者受入れ体制整備コンサルティングや外国人患者受入れマニュアルの作成支援等にも数多くの実績を有する。令和元年度・令和2年度厚生労働省「外国人患者受入れ医療コーディネーター養成研修事業」研修カリキュラムテキスト作成担当・研修講師。令和4年度厚生労働省「医療費の不払い等の経歴がある訪日外国人の情報の管理等に関する仕組みの運用支援事業」有識者委員。