医療ツーリズムにおけるコーディネーターとは?|役割と選び方を解説

  • 2024.09.30

    医療ツーリズム

医療ツーリズム(メディカルツーリズム)の受入れにおいては、患者さんと医療機関を仲介するコーディネーターの役割が重要です。
本記事では、医療ツーリズムにおけるコーディネーター(身元保証機関)の役割とその選び方について解説します。

医療ツーリズムのコーディネーターとは

医療ツーリズムにおける「コーディネート」とは、日本に医療サービスを受ける目的で来日する患者さんに対して、医療機関の紹介などのサポートをおこなうことです。

医療ツーリズムにおけるコーディネーターは「国際交流コーディネーター」と言われます。
外務省によると、「外国人患者等からの依頼を受け、日本の医療機関における外国人患者等の受入れをアレンジする国際医療交流コーディネーター及び旅行会社等は、身元保証機関としての登録を行う必要があります」。そのため、医療ツーリズムのコーディネーターは「身元保証機関」とほぼ同義になります。

医療ツーリズムのコーディネーター事業者の中には、医療機関向けに集患の支援などをおこなう事業者もいます。

医療ツーリズムのコーディネーターの種類

医療ツーリズムのコーディネーターは、旅行業の登録を受けているかいないかで2種類に分かれます。
旅行業に登録している場合は、医療滞在ビザに係る身元保証機関の登録基準に記載の基準を満たしたうえで観光庁に登録申請をおこない合格する必要があります。
旅行業に登録していない場合は、医療渡航支援企業向け情報(METI/経済産業省)に記載の基準を満たしたうえで経産省に登録申請をおこない合格する必要があります。

いずれにせよ、医療ツーリズムのコーディネーター事業者が身元保証機関として認められるためには、
・通訳者(言語に堪能な人)がいること
・コーディネート業務経験があること
・資産が一定あること
・専任の人がいる
などの条件を満たす必要があります。

また、医療ツーリズムのコーディネーターの法人の種類は、企業だけではなく、NPOや医療機関などさまざまです。

医療ツーリズムのコーディネーターの役割

医療機関向けに、医療ツーリズムのコーディネーターの役割を解説します。

医療滞在ビザの申請の身元保証

医療ツーリズムコーディネーターは、患者さんに医療滞在ビザを取ってもらう際に必ず必要となります。医療滞在ビザは、90日を超えて医療目的で日本に滞在する際に不可欠な査証です。
身元保証機関が発行する「医療機関による受診など予定証明書及び身元保証機関による身元保証書」がないと、外国人患者さんは医療滞在ビザの発給申請ができません。


【補足】医療滞在ビザとは

医療滞在ビザとは、日本で治療・健診等の医療機関の指示による医療及び関連サービスを受けることを目的として来日する訪日の外国人患者さんや同伴者に発給されるビザです。
詳しくは以下の記事で詳しく解説しております。ぜひご活用ください。

医療ツーリストの受入れ支援

医療滞在ビザにおける身元保証以外の、医療ツーリズムのコーディネーターの役割は主に以下の4つです。

・多言語に対応する通訳
・交通・宿泊の手配
・医療費の支払い代行
・書類作成の支援

以上のほかにも、空港までの送り迎えや、生活サポートを24時間おこなうコールセンターの提供などをおこなうコーディネーター事業者もいます。

また、場合によっては医療機関向けに、集患の支援をおこなう事業者もいます。

外国人患者さんへの細かい支援や、集患などは医療機関だけでは難しいことも少なくありません。そのため、医療ツーリズムの受入れを推進する際はコーディネーター事業者との提携を検討すると良いでしょう。

医療ツーリズムコーディネーターを探す

医療ツーリズムのコーディネーターを探す際の留意点や役立つリンクを共有いたします。

身元保証機関の一覧

医療ツーリズムのコーディネーターは身元保証機関とほぼ同義になります。外務省が身元保証機関の一覧を公開していますので、以下に紹介します。

登録旅行会社身元保証機関(登録医療コーディネーター等)のリスト
登録医療コーディネーター身元保証機関(登録旅行会社)のリスト

AMTAC認証

医療ツーリズムのコーディネーター事業者が担う、外国人患者さんへの支援は多岐にわたります。適切な支援をおこなうためには、医療に関する文化・習慣の違いや対応方法について知識・ノウハウを持っていることが必要です。しかし、知識・ノウハウが不十分な事業者も少なくありません。

経済産業省主導で医療ツーリズムの促進のために設立されたMEJ(Medical Excellence JAPAN)は、認証医療渡航支援企業(以下AMTAC)の認証制度を2015年から開始しています。また、AMTACは基準を満たさないが質の高いサービスを提供していると考えられる企業に対して、認証医療渡航支援企業に準ずる企業の認証もおこなっています。

AMTACは、3つ以上の医療機関からの推薦、年間平均150名以上の受入れ支援実績など、身元保証機関の登録基準より一層厳しい基準が設けられています。詳細な基準に関しては、AMTAC詳細┃一般社団法人Medical Excellence JAPAN メディカルエクセレンスジャパン【MEJ】から確認できます。

なお、AMTAC認証と準認証を取得している企業は以下になります(2024年7月時点)。

医療ツーリズムのコーディネーター事業者が担う、外国人患者さんへの支援は多岐にわたります。適切な支援をおこなうためには、医療に関する文化・習慣の違いや対応方法について知識・ノウハウを持っていることが必要です。しかし、知識・ノウハウが不十分な事業者も少なくありません。

経済産業省主導で医療ツーリズムの促進のために設立されたMEJ(Medical Excellence JAPAN)は、認証医療渡航支援企業(以下AMTAC)の認証制度を2015年から開始しています。また、AMTACは基準を満たさないが質の高いサービスを提供していると考えられる企業に対して認証医療渡航支援企業に準ずる企業の認証もおこなっています。

AMTACは、3つ以上の医療機関からの推薦、年間平均150名以上の受入れ支援実績など、身元保証機関の登録基準より一層厳しい基準が設けられています。詳細な基準に関しては、AMTAC詳細┃一般社団法人Medical Excellence JAPAN メディカルエクセレンスジャパン【MEJ】から確認できます。

なお、AMTAC認証と準認証を取得している企業は以下になります(2024年7月時点)。

AMTAC認証企業 株式会社JTB
ジャパンメディカル&ヘルスツーリズムセンター(JMHC)
日本エマージェンシーアシスタンス株式会社
ブリジアン株式会社
AMTAC準認証企業 株式会社アイセルネットワークス
株式会社セントルシアヘルスケアジャパン
医信株式会社

医療ツーリズムのコーディネーターを探す際の注意点

医療ツーリズムのコーディネーター事業者のサービスの質は様々です。実績のある事業者を選ぶことはもちろんですが、担当者の日本の医療や医療機関の事情に関する理解の深さや派遣される通訳者の質などを見極めることが重要です。健診や治療期間の短いケースから受け入れを始めるなど、新しいコーディネーターとの契約を開始する場合は、質の見極めのための期間を設けると良いでしょう。

医療ツーリズムのコーディネーターの役割を理解し、円滑な受入れを

医療ツーリズムのコーディネーターは、医療滞在ビザの取得支援や、外国人患者さんへ様々なサポートをおこないます。医療機関だけで、患者さんとのやり取りをすべておこなうのは難しいことが少なくありません。さらに、外国人患者さんとのトラブルの回避やスムーズな対応の実現の一助となるでしょう。
そのため、医療ツーリズムのコーディネーターは医療機関にとっては重要な存在です。医療ツーリズムコーディネーターがおこなう役割や、役割を果たすために必要な要素について理解を深め、適切に連携すると良いでしょう。

医療ツーリズムの市場規模や注目されている理由についてまとめた資料がございますので、お役立ていただけますと幸いです。

著者情報

多言語医療ジャーナルPORT(ポルト)編集部

メディフォンは2014年1月のサービス開始以来、医療専門の遠隔通訳の事業者として業界をけん引してきました。厚生労働省、医療機関、消防などからのご利用で、現在の累計通訳実績は10万件を超えております。「多言語医療ジャーナルPORT(ポルト)」は、メディフォンがこれまでに培った知識・ノウハウをもとに、多言語医療に携わる方々のための情報を発信するメディアです。

監修者情報・友久 甲子

友久 甲子

メディフォンの遠隔医療通訳サービスや外国人患者受入れに関する研修事業の立ち上げを経験。外国人患者受入れに関する研修・セミナーの運営や講義を数多く担当し、医療機関の外国人患者受入れ体制整備コンサルティングや外国人患者受入れマニュアルの作成支援等にも数多くの実績を有する。令和元年度・令和2年度厚生労働省「外国人患者受入れ医療コーディネーター養成研修事業」研修カリキュラムテキスト作成担当・研修講師。令和4年度厚生労働省「医療費の不払い等の経歴がある訪日外国人の情報の管理等に関する仕組みの運用支援事業」有識者委員。