京都で利用できる医療通訳サービスのご紹介|在住外国人の状況も解説

  • 2024.08.06

    医療通訳

京都は外国人観光客・在住の外国人共に増加傾向にあり、医療機関に外国人が来院する可能性が高くなっています。
外国人患者さんへの円滑な対応のために重要となる医療通訳の京都の状況や、状況を踏まえた取るべき対策を解説します。

京都で使える医療通訳|京都市医療通訳派遣事業

京都市で自治体が行っている医療通訳サービスには、「京都市医療通訳派遣事業」があります。
京都市、特定非営利活動法人多文化共生センターきょうと、3つの協定病院の協働で運営されています。

3病院以外で、外国人患者さんの来院に備えて医療通訳サービスを準備しておきたい医療機関は、全国展開されているような遠隔の医療通訳サービスを利用すると良いでしょう。

京都で医療通訳が利用できる医療機関3つ

京都市医療通訳派遣事業を実施している医療機関は以下の3つになります。

京都市立病院【時間帯】9:00~11:00
中国語:火曜日・金曜日(固定派遣)
英語:金曜日(予約派遣)
韓国・朝鮮語:火曜日・水曜日・金曜日(予約派遣)
医仁会武田総合病院【時間帯】9:00~12:00
中国語:火曜日・金曜日(固定派遣)
英語:火曜日・金曜日(予約派遣)
韓国・朝鮮語:火曜日・金曜日(予約派遣)
京都桂病院【時間帯】9:00~11:00
中国語・英語・韓国・朝鮮語:火曜日・水曜日・金曜日(予約派遣)
引用:京都市:医療通訳派遣事業(The Medical Interpreter Dispatching Service)

固定派遣:通訳者が常駐しています。
予約派遣:受診予定の5日前までに各病院に連絡する必要があります。

京都市医療通訳派遣事業の利用方法

利用料金は無料です。
上記表にて予約派遣と記載の場合は、受診予定の5日前までに各病院に連絡する必要があります。また、2024年7月現在HP上では、「派遣可能な通訳者が少ないため、必ずしも派遣できるわけではない」と記載されています。
また、風邪症状がある場合、通訳の提供ができないとのことです。

【補足】外国語に対応している医療機関

以上のほかにも、外国語での診療が可能な医療機関の一覧を京都市国際交流協会が公開しております。
外国語が通じる病院・歯科 | 公益財団法人 京都市国際交流協会からご覧いただけます。

京都府の在住外国人について

京都府・京都市の在住外国人の状況について解説いたします。

在住外国人数は全都道府県で11位

出入国在留管理庁の令和5年度12月末の統計によると、京都府の在住外国人の数は2023年で75,818人で、全都道府県で11番目となっています。
全人口における構成比では2.2%で、群馬県と並んでこちらも全都道府県のうち11番目です。

在住外国人数の推移

また、京都府の在住外国人の推移を以下に示しました。

コロナ禍で外国人の数は落ち込んでいますが、2022年からコロナ以前の水準を超えるほど増加していることが分かります。

在住外国人数の国籍ごとの推移

以下のグラフに、京都府の在住外国人数の国籍ごとの推移を示しました。

以上のグラフより、韓国・朝鮮は数を減らしていますが、それ以外の国籍の外国人が増加していることがわかります。特に、ベトナム人の増加傾向は強く、ネパールなども近年急激に数を伸ばしています。
つまり、外国人数がただ増えているだけではなく、国籍が多様化していることが示されています。


ベトナム人やネパール人は、技能実習や特定技能などの在留資格で入国しているケースが多いと言われています。そのため、日常会話程度の日本語は通じますが、医療に関する話になると、日本語では難しいことも多いのです。また、英語が通じる場合は非常に少ないでしょう。
英語・中国語・韓国語の通訳者の数は多いですが、ベトナム・ネパールなどの最近数を増やしている東南アジアの国の言語の通訳者はまだ少ないのが現状です。つまり、国籍の多様化に応じて、用意する通訳言語の種類を増やすことが求められています。

京都市内は訪日外国人が多い

京都は在住外国人だけではなく、訪日外国人においても数が増加しています。特に京都市は世界でも有数の観光地の1つであり、訪日外国人の数はコロナ禍を過ぎて急激に増加しています。
以下に、観光客数と宿泊者数の推移を表しました。

以上のグラフから、コロナ禍以降京都市内に観光に来る外国人の数が増加していることが推測できます。

観光客として来日する外国人の多くは日本語を話すことがほとんどできないことが多く、適切な多言語体制がない場合、対応が円滑に進まない可能性が高いでしょう。また、すぐ母国に帰国するため未収金が発生してしまうと回収できないリスクが大きいです。
公的医療保険を持たないために一回の未収金額が大きくなる傾向にありますので、未収金については防止対策を十分に行っておく必要があります。

以下の資料で医療機関にできる未収金対策について網羅的に記載しておりますので、ぜひご活用ください。


【医療機関向け】医療通訳サービスなら遠隔通訳サービスがおすすめ

京都のように外国人の国籍の多様化が進んで、様々な言語が必要になっている場合や、訪日外国人が多く夜間救急の来院の発生頻度が高い場合、言語ごとに事前予約が必要になる派遣通訳に比べて、多くの言語を予約なしで利用できる遠隔医療通訳が便利に使える場合が多いです。遠隔の医療通訳は、音声のみでおこなう電話医療通訳と映像と音声でおこなうビデオ医療通訳の2つに分かれます。
遠隔の医療通訳になじみがない方もいらっしゃるかもしれませんが、遠隔の医療通訳には様々なメリットがあります。

メリット①いつでもどこでも利用できる

遠隔医療通訳の利点は、いつ・どこでも利用できることです。医療通訳者の派遣では、入院患者さんの容態の急変などで深夜に通訳が必要なケースに対応できません。また、救急や外来で急に来院された場合にも対応できないでしょう。
遠隔の医療通訳である場合、基本的にいつ・どこでも通訳を依頼することができ、安心して医療をおこなえるようになります。

メリット②短時間での利用が可能

医療通訳者の派遣の場合、数分で終わる通訳をお願いすることは、かかる労力や費用に見合わないため依頼しづらいでしょう。
しかし、遠隔の医療通訳の場合は通訳を必要な時だけ使うことができるため、少ない時間でも利用することができ、非常に便利です。たとえば、手術前の数分の確認、薬の説明、問診など、数分〜数十分で終わるような場面でも利用できます。

メリット③言語の切り替えが可能

初診の患者さんの場合、通訳を提供するべき言語を間違うことがあります。たとえば、フィリピン出身の患者さんである程度英語を話せるため、英語で通訳を依頼したが、実際に診察してみると医療用語のレベルは分からず、母語であるタガログ語の方が良いことが分かったということがあります。

外国人患者さんの国籍だけでは必要な言語は判断できないのです。
医療通訳者の派遣の場合、言語を切り替えるということはできませんが、遠隔医療通訳の場合、異なる言語の通訳者さんにすぐに切り替えることができます。

メリット④コストが低い

また、多くの場合で遠隔医療通訳の方が医療通訳者の派遣よりも料金が低くなります。医療通訳者の派遣を依頼した場合、依頼時間に応じた費用に加え、交通費などが必要になります。しかし、遠隔医療通訳の場合は必要な時間だけ通訳を依頼できるため依頼時間を大幅に短縮できることに加え、交通費が必要ありません。
費用という観点でも、多くの場合遠隔医療通訳の方が優れています。

メリット⑤質の高い・希少言語の通訳者に頼める

また、医療通訳者の派遣は、地理的制限がかかりますが、遠隔医療通訳の場合は地理的制限がありません。たとえば、海外にいる医療通訳者に依頼することも可能なのです。
そのため、高い質の医療通訳者に依頼できる可能性が高まります。

また、英語や中国語、ヨーロッパの言語などは医療通訳者がいることが多いですが、それ以外の言語の通訳者の数は少ないのが現状です。たとえば、現在京都で在住者が3番目はベトナムですが、ベトナム語と日本語の通訳をできる人は少なく、医療の専門性もある人はさらに限られるのが現状です。都心部ではなんとか該当する人がいたとしても、地方では見つけられる可能性がさらに低くなります。しかし、遠隔の医療通訳であれば、病院の場所に関係なく希少言語の医療通訳者に依頼することが容易です。

外国人の国籍が多様化していることも踏まえ、遠隔の医療通訳サービスを準備しておくことで、様々な状況に対応できるでしょう。

安心・安全に医療提供できるよう、外国人患者さんの受入れ体制を整えましょう!

京都は、外国人観光客だけではなく、在住の外国人も増えています。多言語対応の体制が整っていない場合、意思疎通がうまくいかず医療安全の問題が発生したり、対応に時間がかかったり、スタッフの心理的負担が大きくなったり、未収金につながったりというリスクが懸念されます。
外国人患者さんが来院したときに、安全・安心で円滑な対応できる環境をつくるために、医療通訳の導入検討をお勧めしています。


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著者情報

多言語医療ジャーナルPORT(ポルト)編集部

メディフォンは2014年1月のサービス開始以来、医療専門の遠隔通訳の事業者として業界をけん引してきました。厚生労働省、医療機関、消防などからのご利用で、現在の累計通訳実績は10万件を超えております。「多言語医療ジャーナルPORT(ポルト)」は、メディフォンがこれまでに培った知識・ノウハウをもとに、多言語医療に携わる方々のための情報を発信するメディアです。

監修者情報・友久 甲子

友久 甲子

メディフォンの遠隔医療通訳サービスや外国人患者受入れに関する研修事業の立ち上げを経験。外国人患者受入れに関する研修・セミナーの運営や講義を数多く担当し、医療機関の外国人患者受入れ体制整備コンサルティングや外国人患者受入れマニュアルの作成支援等にも数多くの実績を有する。令和元年度・令和2年度厚生労働省「外国人患者受入れ医療コーディネーター養成研修事業」研修カリキュラムテキスト作成担当・研修講師。令和4年度厚生労働省「医療費の不払い等の経歴がある訪日外国人の情報の管理等に関する仕組みの運用支援事業」有識者委員。