【セミナー開催後記】登壇者が振り返る「ベトナム出身通訳者が解説!現場担当者に知ってほしいベトナム人患者さんの特徴とコミュニケーションのコツ」

  • 2023.09.11

    セミナー開催後記

ベトナム文化セミナー_開催後記アイキャッチ
監修者情報・三浦 那美

三浦 那美

看護師として大学病院の呼吸器循環器内科、血液内科、内分泌・膠原病内科の混合病棟にて患者対応業務に従事。その後、看護師問診に注力し、海外赴任向けの予防接種も行っている総合診療のクリニックに転職。これら医療機関で外国人患者の対応も多く経験し、その難しさに触れる。メディフォン株式会社に入社し、現在は経営企画室で看護師としての経験を活かしてコンテンツの監修や企画を担当。


こんにちは、メディフォン株式会社事業企画室・看護師の三浦那美です。

今回の記事は、2023年9月1日におこなわれたオンラインセミナー、「ベトナム出身通訳者が解説!現場担当者に知ってほしいベトナム人患者さんの特徴とコミュニケーションのコツ」 の開催後記です。
本セミナーでは、弊社の現役の医療通訳者であるグエン ティフーンさんが登壇し、私は聞き手として、ベトナム人の患者さん対応の際に役立つ様々な情報についてお話を聞きました。

セミナー概要

【タイトル】ベトナム出身通訳者が解説!現場担当者に知ってほしいベトナム人患者さんの特徴とコミュニケーションのコツ
【開催日時】2023年9月1日(金)14:00ー14:30  ※期間限定アーカイブ配信あり
【登壇者】
・メディフォン株式会社 ベトナム語通訳 グエン ティフーン
・メディフォン株式会社 看護師・事業企画室 三浦那美
【主な内容】
・導入「外国人医療の今」
・講演「ベトナムと日本の医療制度・文化の違い」
・対談「医療機関でのトラブル事例と対応のコツ」
・Q&A

今回のセミナーは、「外国人医療の今」、「ベトナムと日本の医療制度・文化の違い」、「医療機関でのトラブル事例と対応のコツ」という3部構成でした。

まず、インバウンド需要が増えている実情を私の方から説明し、その後にフーンさんから医療制度の違いやトラブル事例と対応のコツについてお話しがありました。

参加された方は、医療機関にお勤めの医療従事者の方がほとんどでした。その中でも、医師や看護師、国際診療部の患者対応をされている方、各種相談窓口の担当の方など、普段のお仕事で外国人患者さんと接していらっしゃる方が多かったです。

セミナーの振り返り①「ベトナムと日本の医療制度・文化の違い」

実際にどのようにベトナムと日本の医療制度・文化が違うのか、フーンさんから事例を交えて色々な視点でお話を聞きました。例えば、なぜ紹介状を持たずに大きな医療機関に来院してしまうという事例が起こるのか、医療制度の違いなどを踏まえて解説がありました。

フーンさんのお話を聞いて、ベトナム人の患者さんにとっては、日本において医療機関が選択できること・クリニックなどの小規模の医療機関は診療科によって分かれていることに戸惑い、受診する医療機関の選択に困るのかもしれないと感じました。
実際、外国人患者さんが、大きい病院に紹介状なしで受診することはよくあると思われます。その際の予約が必要なことや、選定療養費の説明などをして、その後の対応について相談するという流れは、なかなか大変かと想像しました。


セミナーのそのほかのパートの詳細な内容につきましては、セミナーレポートからご覧いただけます。


>>>セミナーレポート「ベトナム出身通訳者が解説!現場担当者に知ってほしいベトナム人患者さんの特徴とコミュニケーションのコツ」


セミナーの振り返り②「Q&A」

本セミナーでは、事前質問に加え、当日もたくさんのご質問をいただきました。大変ありがたく思います。

事前質問では、日本国内におけるベトナム語通訳者の状況や、患者対応で困った事例への対応策、ベトナム語のちょっとしたコミュニケーションについてなどがありましたので、セミナーの内容に盛り込んで、回答いたしました。

当日寄せられた質問の一部は以下の通りです。
・ベトナム語通訳者の養成学校について
・地域別のなまりについて
・妊娠から出産に関する文化・風習について
参加いただいた方からは、医療通訳の現状から、各国の状況について、また医療提供時のための文化背景理解など、様々なジャンルに興味関心を持たれていると分かりました。

たくさんいただいた質問の中から、ひとつだけご紹介します。
「ベトナムには、地域ごとのなまりや発音の違いはあるのか?」という質問です。
回答としては、「地域ごとに違う」となります。

言語のなまりについては、以下の3つの地域に大きく分類でき、それぞれ特色があります。
・ハノイを中心とした北部
・ニャチャンなどがある中部
・ホーチミンを中心とした南部
北部は、発音がはっきりしているのが特徴で、標準語に近いそうです。中部や南部は話すスピードが少し早く、特に中部は独特の方言があるとのことでした。

私が過去に住んでいたラオスにも、なまりがあります。首都ビエンチャンのラオ族が話す標準語といわれるラオス語と、他の少数民族が多い北部と南部の人が話すラオス語は違いがあります。さらに、北部でも複数のなまりがありました。そのため、ラオス国内旅行の時は、地域のなまりが強い地域では、時に癖を強く感じ、理解するのに集中力が必要でした。
国境を接するタイのノンカーイに行くと、ラオス語でもすらすらとコミュニケーションができました。一方、バンコクでラオス語なまりのタイ語を話すと、タイの東北地方、イサーン地方のなまりだと大爆笑されたという経験があります。

一般的な機械翻訳では、ベトナム語は一種類しか選べないので、機械の聞き取り精度になまりがどの程度影響するのか、気になりました。

受講者様からの感想

受講者様からはおおむね満足したとの声を多く聞きました。ありがとうございます。
また、今後のセミナーの開催企画について、以下のような希望をいただきましたので、ご紹介いたします。

・他の国の状況も知りたい
アジアの国やブラジルなど各国の医療文化や生活習慣などについて知りたいというお声をいただきました。英語が母語ではない国、在留外国人の数が急増している国についての情報のニーズも多いように感じています。

・医療通訳に関する内容を知りたい
医療機関が医療通訳を利用する際の流れや、医療通訳者に伝えるべきことを知りたいという方もいました。

・外国人患者対応について知りたい
コミュニケーションの齟齬が生じた際に、トラブルになってしまう可能性があり、どのように対応するのかについて知りたいというお声もいただきました。

以上を含め、いただいたご意見は今後のセミナー内容に反映できるよう尽力いたします。
また、他の国の状況については、シリーズとして開催できたらと思っておりますので、どうぞお楽しみに。

セミナーを通しての感想

今回、フーンさんからベトナムの文化や風習を聞いて、日本ととても似ている部分があり、親近感を覚えました。感覚的に近い部分が多く、自然なコミュニケーションで対応して良いのだと分かり、安心しました。

患者さんは、疾患の不安だけでなく、今後の生活の不安、支払いの不安など、色々なことを考えながら受診されたり、治療をうけたりします。さらに、コミュニケーション、言語の不安もある中で、私たちが少しでも不安を取り除けるようにするためにできることは色々あるのだと感じました。

特に、ベトナムの方には、より安心感を持っていただくために、ご家族のことなどを質問してお話しいただくことが有効というのは興味深い話でした。
また、医療通訳を介して自分の母国語で表現・質問・相談できることで、外国人患者さんの不安はさらに和らぐかもしれないと想像し、医療通訳によってさらに異文化理解やダイバーシティが進む可能性を感じました。



メディフォンでは、本イベント「ベトナム出身通訳者が解説!現場担当者に知ってほしいベトナム人患者さんの特徴とコミュニケーションのコツ」の内容を凝縮してまとめたセミナーレポートを作成しております。
セミナーの内容を後からご確認したい、手早く内容を知りたいという方などはぜひ、以下のリンクからセミナーレポートを申し込みいただければと思います。


>>>セミナーレポート「ベトナム出身通訳者が解説!現場担当者に知ってほしいベトナム人患者さんの特徴とコミュニケーションのコツ」