医療通訳にかかる費用とは?相場や費用節約のコツを解説!
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2023.07.10
医療通訳
医療通訳は、外国人患者との円滑な意思疎通やトラブルの防止に役立ちます。
しかし、利用にあたっては医療通訳の費用が気になるという方もいるのではないでしょうか。そこで、今回は医療通訳にかかる費用の相場や、節約のポイントを解説します。
医療通訳利用のメリット2つ
医療通訳を導入することのメリットは、コミュニケーションを円滑化することと、リスクの軽減の2つです。それぞれについて説明します。
1. 円滑なコミュニケーション
医療通訳を導入することのメリットの1つ目は、外国人患者と円滑なコミュニケーションが取れる点です。
日本語がある程度話せる外国人患者でも、医療用語や、症状の説明などの感覚の表現は難しい場合が少なくありません。外国人患者が、医師の説明に対して頷いていたが、後で確認すると内容をほとんど理解していなかったというケースもあります。
患者と医療従事者、双方が伝えたいことを十分に相手に伝えるために、医療通訳は重要なのです。
2. 訴訟などのリスクを回避
海外では、通訳を介さなかったことなどが原因で医療過誤訴訟が発生しています。また、訴訟にまで発展しなくとも、適切な通訳体制なしに診療やケアを提供することは、未収金などのトラブルの発生原因ともなります。
厚生労働省の外国人患者の受入れのための医療機関マニュアルでは、医療安全という観点でも、医療通訳を導入することが推奨されています。
医療通訳サービスを選ぶ基準とは?
医療通訳の相場について見る前に、医療通訳サービスを選ぶ基準について見ていきましょう。医療通訳は機能やプランによって値段が大きく変わります。
1. 医療通訳サービスを比べる際のポイント
医療通訳サービスを検討する際のポイントを、派遣通訳と遠隔通訳にわけて紹介します。
派遣通訳の場合
・通訳者のスキル ・個人情報の取り扱い ・誤訳の対応 |
通訳してほしい場面によっては、通訳者に高いスキルが求められます。例えば、病状説明や手術に向けた説明・同意を取る際には、レベルの高い通訳者を用意する必要があります。
また、医療機関は特に重要な個人情報を取り扱いますので、通訳者側とどのような情報漏洩防止策を講じるのか事前に確認し、取り決めがあれば書面を交わしておくとよいでしょう。
誤訳などのトラブルが起きたときに、どちらが責任を負うのかも定めておくのがよいでしょう。
遠隔通訳の場合
遠隔通訳の場合は、多くが定額制になります。そのため、通訳利用一回ごとの支払いではなく、月毎の支払いになるのが普通です。
遠隔通訳サービスにおいて注意する点は以下です。
1. 通訳者のスキル 2. 個人情報の取り扱い 3. 誤訳の対応 4. 通訳内容のチェック体制 5. 対応言語数 6. 応答率対応時間(24時間対応が可能か) 7. 2者通話だけでなく、3者間通話にも対応しているか 8. ビデオ通訳が可能か 9. 通訳記録を確認できるか 10. 機械翻訳が付いてくるか |
上から3点目までは派遣通訳と同様の内容です。4点目以降は遠隔通訳独自のポイントです。
・「通訳内容のチェック」とは、医療通訳の事業社が通訳内容をチェックすることです。事業者の通訳品質の維持・向上に対する姿勢を判断する項目になります。
・「応答率」とは、医療通訳を依頼した際に通訳者とつながる確率です。応答率が高いサービスを選ぶとよいでしょう。
・「通訳記録」というのは、医療機関と外国人患者、医療通訳者のやり取りの記録です。通訳記録があると、後で誤訳があったのではないかと思われた場合に、実際にどのような通訳がなされたのか確認が可能です。
その他については、費用相場の説明の際に触れます。
【補足】2者間通話と3者間通話の違い
3者間通訳とは、患者、医療機関、通訳者が全て離れた場所にいる場合におこなわれる通訳です。3者間通訳は、外国人患者が電話で医療機関に予約を取ろうとしている際や、外国人患者の家族が遠方に住んでおり、患者の家族へ手術の説明などが必要な際に役立ちます。
2. 通訳以外のサービス
遠隔通訳サービスを選ぶ場合は、そのサービス会社が遠隔通訳以外に提供しているサービスを基準の一つとしてもよいでしょう。通訳以外に、院内の外国人患者の受入れ体制の整備を支援している会社もあります。
医療通訳の相場を種類別に解説
それでは医療通訳の相場について、派遣通訳と遠隔通訳それぞれについて説明します。
1. 医療通訳派遣の相場
医療通訳派遣の相場は以下の通りです。
健診・検査 |
診察、治療 |
|
半日 |
¥20,000~¥30,000 |
¥30,000~¥40,000 |
一日 |
¥40,000~ |
¥70,000~ |
備考 |
・交通費・宿泊費が別途かかります。 ・英語・中国語は、それ以外の言語と比べて安価な場合があります。 |
健診や検査などの難しい医療用語を用いない場合と、診察や治療、病状説明や手術の説明と同意を取る際などの高度な医療用語を用いる場合で価格が異なります。また、英語・中国語は通訳者の数が多く、安価な可能性があります。
2. 遠隔医療通訳の相場
遠隔利用通訳の相場は以下の通りです。
導入費 | ¥100,000~¥200,000 |
固定費 | ¥20,000~(利用量によって異なる) |
備考 | ・上記は医療専門の遠隔通訳サービスの相場です。 ・24時間対応を希望する場合は値段が高くなる場合が多くなっています。 ・アカウント数によって金額が上下する場合があります。 ・希少言語も使用できるプランは高くなる場合があります。 ・プランごとに使用上限時間があり、超えると利用ごとに超過料金が発生する場合があります。 ・オプションで、タブレットを借りられる場合や、タブレットを借りなければ使用できない場合があります。タブレットの料金は1台あたり月額5,000円~6,000円程度です。 |
遠隔医療通訳の場合は、基本的に月額定額制です。導入費を最初に、その後毎月定額を支払う形態です。事業者によってオプションは様々あります。医療通訳がどの程度、どのような場面で必要になるかを考えてからプランを選ぶと良いでしょう。
例えば、検査結果の画像の説明や、書類の説明で通訳をお願いしたい場合はビデオ通訳があると安心でしょう。また、救急科があり24時間外国人患者が来院する可能性がある場合は24時間対応がある方が良いでしょう。
【補足】機械翻訳の相場
機械翻訳は買い切りの場合、1つのデバイス当たり30,000円前後が多くなっています。また、定額制の場合は月額5千円程度でしょう。
機械翻訳は安価で魅力的ですが、通訳品質や対応力・安心感では人に劣るのが現状です。また、翻訳した内容は通訳精度向上のために第三者提供されることが多いため医療機関ではセキュリティ面でも利用について十分な検討が必要です。受付などの定型的な場面で利用するのは良いですが、手術の説明など、間違いが許されない、あるいは高度な医療用語を用いる場面では医療通訳を頼む方がよいでしょう。
なお、遠隔医療通訳サービスに機械翻訳が無料で付くこともあります。
医療通訳の費用節約のポイント6つ
医療通訳サービスの費用の負担を軽減できる場合があります。費用節約のポイント5つについて解説していきます。
1. 補助金を活用する
医療通訳サービス利用料について、厚生労働省や各自治体から医療機関に対して補助金が出ることがあります。行政のホームページを確認するなどして、情報を見逃さないようにしましょう。
外国人医療関連の国からの補助事業については厚生労働省|医療の国際展開などからご覧いただけます。また、補助金を出す主体が、国からの交付金を受けた各自治体であるケースも多いため、各都道府県の外国人医療の担当部署のウェブサイトを確認したり、問い合わせたりすると良いでしょう。
2. 公的サービス・保険付帯サービスを利用する
医療通訳サービスの中には国や自治体・医師会などの公的機関が提供しているものがあります。自治体・厚労省による通訳サービスのリストに関しては、厚生労働省の補助事業の一つとしてメディフォン株式会社が運営している外国人患者受入れ情報サイトからご確認いただけます。
また、医師会や各社が提供する医師賠償責任保険の付帯サービスの一つとして、医療通訳サービスが利用できる場合があります。例えば、東京海上日動火災保険株式会社の提供する保険には医療通訳サービスが付帯しています。加入している保険の内容をぜひ確認してみてください。
3. 機械翻訳と医療通訳を使い分ける
機械翻訳は安価なため、機械翻訳と医療通訳を使い分けることで節約できます。受付や院内の案内といった簡単で定型的な場面での通訳は機械でも対応できる可能性があります。
4. 活用方法を周知する
多くの場合、医療通訳者を拘束している時間分だけお金がかかります。医療通訳サービスの料金体系を現場の人に知らせることで、無駄な利用を防ぎ費用の節約ができます。遠隔医療通訳を提供している事業会社によっては、院内周知の支援をしてもらえることもあります。
5. 通訳料の患者請求や自由診療の診療価格を検討する
医療通訳などの料金は、患者に保険外費用として請求できます。
厚生労働省は、医療通訳や翻訳を「療養の給付と直接関係のないサービス等」と位置づけており、その費用に関しては、通訳サービスの内容を患者に明確に説明し同意を得た上で保険診療分とは別に徴収できるとしています。詳しくは療養の給付と直接関係ないサービス等の取扱いについて (平成17年9月1日 保医発第09010)をご覧ください。
厚生労働省の調査事業において作成された訪日外国人の診療価格 算定方法マニュアルによれば、日本の公的保険に加入していない観光客などの訪日外国人の場合は、自由診療であるため、医療機関が自由に診療価格を設定できます。訪日外国人患者さんの場合、医療通訳や翻訳・外国人患者さん特有の対応に、通常とは異なる費用がかかることから、1点10円を超える診療価格を設定している医療機関が増加しています。
令和3年の厚生労働省の調査によれば、1割を超える病院が自由診療について1点あたり10円を超える診療価格の設定をしており、さらに、外国人患者の受入れが多い医療機関に限ると、約7割の病院が1点あたり10円を超えて請求しています。
6. 通訳以外の外国人患者受入れ体制の整備
院内資料・案内表示板・ホームページの多言語化や、外国人患者向けの動画作成などによって、外国人患者との通訳が必要になる回数自体を少なくできる可能性があります。
例えば、待合室で待ってもらっている間に、外国と日本の医療制度の違いを解説した動画の閲覧をお願いすれば、診療費の支払いのときに通訳の時間を短縮できるかもしれません。また、院内の案内表示を多言語化すれば、院内案内で医療通訳が必要とされる場面は少なくなるでしょう。
通訳以外の多言語対応を進めることで、医療通訳を使う時間が少なくなり、結果的に節約につながる可能性があります。
メディフォンは医療通訳以外にも外国人患者受け入れ体制整備のための支援を総合的に行っており、医療機関のご状況に合わせて柔軟な支援ができます。お気軽にお問い合わせください。
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医療通訳者に適正な報酬が必要な理由
長らく医療の場での通訳は家族や友人の手でおこなわれてきたため、医療通訳にお金を払うことが当たり前ではありませんでした。
しかし、家族や友人による通訳は、医学的概念や専門用語、通訳技術、倫理的規範等に関する知識が十分ではない可能性が高く、不正確あるいは質の低い通訳が行われる可能性があります。特に家族が通訳をしている場合には、医療者の伝えたい内容や患者本人の伝えたい内容について変更や歪曲、抑制等が起こるリスクもあります。さらに、もしものときには通訳した家族や友人が「責任」を負うことになります。そのため、通訳をする家族や友人には精神的な負担もかかります。
以上のようなリスクがあるために、厚生労働省でも家族や友人の通訳は推奨されておらず、専門の医療通訳者による通訳が推奨されています。近年は家族・友人による通訳のリスクが認知されはじめ、医療通訳者が適切な報酬を得られることが徐々にできるようになってきました。
医療通訳者に適切な報酬が支払われるようになることで、医療通訳者の数が増えるでしょう。さらに、医療通訳者は自らの通訳技術を向上させようとなるでしょうし、医療通訳以外の仕事をする必要が減り、医療通訳や通訳の勉強に時間をより多くかけられるようになります。その結果として医療通訳の全体的な質の向上につながるでしょう。そして、医療通訳の質の向上は、外国人患者とのコミュニケーションをより円滑化し、トラブルの防止にもつながります。
必要な場面を見極めて適切な医療通訳サービスを!
本記事では、医療通訳の相場と、費用節約のポイントについて解説してきました。
医療通訳は、使用したい場面などに応じて必要な機能が異なり、費用も上下します。本記事で提示したのはあくまで相場で、会社によってプランは大きく異なりますので、サービスの検討を進める際にはぜひ見積りを取ってご検討ください。
医療通訳サービスは、必要な場面・機能を見極めることが非常に重要です。事業者によっては使い分け方法などから相談にのってくれる場合もありますので、本記事を参考に、無駄もリスクも少ないサービス利用をしていただけることを願っています。
メディフォンは医療機関の状況に応じて柔軟にプランをご提示できます。遠隔医療通訳の導入を検討されている方はご気軽にお問い合わせください。
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