【セミナーレポート】岩手県国際交流協会共催「31言語通訳のアドバンテージ!~病院や相談に使える電話通訳~」

  • 2023.08.24

    セミナーレポート

岩手県国際交流協会共催セミナーレポート_アイキャッチ

2023年7月22日、公益財団法人 岩手県国際交流協会との共催にて、『31言語通訳のアドバンテージ!~病院や相談に使える電話通訳~』というテーマで、岩手県内の電話通訳サービス活用促進のためのセミナーを開催しました。

メディフォンの医療通訳リーダーや海外にルーツをもつ医療通訳スタッフが登壇し、電話通訳の優位性や文化的差異の理解を促す内容で講演した後、質疑応答がおこなわれました。

■セミナー情報

<セミナー概要>
令和5年度 多文化共生地域づくりセミナー
『31言語通訳のアドバンテージ!~病院や相談に使える電話通訳~』

【開催方法】現地&オンラインのハイブリッド開催 
現地会場:盛岡地域交流センター マリオス18階会議室183・184(連結)(岩手県盛岡市盛岡駅西通2丁目9−1) 
オンライン:Zoomウェビナー
【開催日時】2023年7月22日(土)14:00~15:30
【対象者】岩手県内の市町村・市町村国際交流協会職員の方、医療機関職員の方、一般県民の方
【主催】(公財)岩手県国際交流協会
【共催】メディフォン株式会社

<プログラム>
【主講演】通訳を有効活用した、外国人相談と医療のコミュニケーション  
    関本 亨(メディフォン株式会社 通訳チームリーダー)
【事例紹介】文化的な差異の理解:海外にルーツを持つ通訳者からの体験談  
    ミャンマー語メディフォン通訳スタッフ
    ネパール語メディフォン通訳スタッフ
    ベトナム語メディフォン通訳スタッフ
【質疑応答・意見交換】

■電話医療通訳が必要とされる背景

岩手県においても、外国人労働者やインバウンドによる訪日・在住外国人が増加していることから(※)、困りごと・悩みを抱える外国人や、病気やケガで病院を訪れる外国人に対応する機会が増えると予想されています。

※「岩手県多文化共生推進プラン2020-2024」https://www.pref.iwate.jp/kyouikubunka/kokusai/tabunka/1006851.html

日本語での意思疎通が難しい外国人へは通訳が必要となりますが、多様化する国籍・言語に対応できる通訳人材をすべて県内で確保することは難しいのが現状です。

■セミナー開催目的

岩手県国際交流協会では、専門的で人的リソースのある事業者のメディフォン(株)と連携し、電話通訳サービスによる県内の医療機関へ支援をおこなっています。

このセミナーを通じて、電話通訳と対面通訳との違いや電話通訳の優位性などについて学び、電話通訳をうまく活用していく機会の場をつくります。

■【主講演】通訳を有効活用した、外国人相談と医療のコミュニケーション 関本 亨(メディフォン株式会社 通訳チームリーダー)

(主講演の様子)

講演内容
・通訳の種類
・通訳の専門性
・通訳を活用するには
・遠隔通訳・遠隔通訳のメリット
・通訳者のチャレンジ

主講演では、通訳を利用したことがない人でも分かるよう、通訳の種類や、通訳の専門性について説明。その上で、通訳の活用ポイント・遠隔通訳(電話・ビデオ)のメリットや、専門性を必要とする医療通訳者が日々どんなことにチャレンジしているかについて紹介しました。

講演を通じて、「通訳といっても、通訳の種類・専門領域ごとに異なる知識やスキルが必要であるし、ツールごとの長所短所も様々。それらを理解した上で通訳を利用することでメリットが大きくなる。」「メディフォンも提供している遠隔での電話通訳は、対面通訳と違って通訳する相手が見えないというデメリットはあるが、すぐ通話できる・短時間から使える・コストを抑えられるといったメリットの方が上回る便利なツール。特性を知り、電話通訳を上手に活用してほしい。」と、講師関本より参加者に向けてメッセージが送られました。

※参考
セミナーの中で紹介された「岩手県内でご利用できる通訳サービス一覧」です。


続いて、会場では、電話回線を用いた電話通訳、タブレットを用いたビデオ通訳について、それぞれ別の場所にいる通訳者と遠隔でつなぎ会話するメディフォンの遠隔医療通訳のデモンストレーションをおこないました。

(デモンストレーションの様子)

■【事例紹介】文化的な差異の理解:海外にルーツを持つ3か国の通訳者からの体験談

講演内容
・生活面での文化的な違い
・医療制度(保険や医療文化など)の違いで、日本で困ったこと
・病院にかかったときの困りごと~医療従事者や医療機関との距離感も含めて~
・通訳者としてサポートする際に意識していること~各国の方の気質を踏まえて~


メディフォンで通訳者として活躍するミャンマー・ネパール・ベトナム出身の3名が、それぞれ自身の体験談や通訳者としての経験から、文化や医療制度の違いを語り、外国人患者の「なぜ」を理解するきっかけの場となりました。

具体的には、「医療機関受診の流れ」「支払い金額確定・支払いタイミング」「薬の処方箋の決まり」「医療機関に対して”Yes”と言いがちな文化的背景」などのテーマについて、日本とそれぞれ自国の違いが大きく不安やトラブルが起きがちであると、参加者に向けて理解の必要性を伝えました。

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(通訳者からオンライン発表の様子)

■質疑応答・意見交換

 講演終了後、会場では、参加者から登壇者に向けて、活発に質問がよせられました。

 特に、海外出身の通訳スタッフに対し、「こういう状況だったらこの国の人はどう行動する?」「自国ではどうなっている?」といった、普段の業務の中で出てくる疑問について質問がありました。

セミナー後におこなったアンケートでは、参加者の8割以上が「満足」と回答。電話医療通訳の使い方や、異文化の差異への理解など、外国人患者受入れの理解に対する関心度の高さがうかがえる結果となりました。

■主催の岩手県国際交流協会 川村様よりコメント

今回のセミナーで通訳者の方々にお話しいただいた内容は、大変重要なポイントだったと思っております。 日本語から外国語への言葉の置き換えだけでなく、言葉のやり取りの裏側にある医療文化も含めた文化や宗教、社会的な背景、認識、制度などを充分に知っていることで真の「通訳者」として現場に立てることを知っていただける機会を作っていければと思います。



【主催者情報】
(公財)岩手県国際交流協会 担当:川村
住所:〒020-0045   岩手県盛岡市盛岡駅西通1丁目7番1号
         いわて県民情報交流センター(アイーナ)5階
電話:019-654-8900
メール:event-iia@iwate-ia.or.jp
URL:https://iwate-ia.or.jp/

編集後記

今回は、岩手県国際交流協会との共催セミナーを開催しました。
岩手県をはじめ東北地方でも、地域で働く外国出身の住民やインバウント客が増加しています。
今後さらに加速する多文化共生時代において、外国人患者受入れ体制の整備は急務となります。


電話医療通訳サービスをはじめ、外国人患者受入れ支援についての疑問や知りたいことがあれば、小さなことでも構いませんので、お気軽に「お問合わせフォーム」よりご連絡ください。

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著者情報

多言語医療ジャーナルPORT(ポルト)編集部

メディフォンは2014年1月のサービス開始以来、医療専門の遠隔通訳の事業者として業界をけん引してきました。厚生労働省、医療機関、消防などからのご利用で、現在の累計通訳実績は10万件を超えております。「多言語医療ジャーナルPORT(ポルト)」は、メディフォンがこれまでに培った知識・ノウハウをもとに、多言語医療に携わる方々のための情報を発信するメディアです。